八転び七起き

はじめましてKRZです。

2021年5月22日

彼女や彼氏が出来ないのは出会いがないからだと考えている若者がいる。確かに家と学校の往復だけで、学校には恋愛対象になるひとがいないと結果的にはそういうことになる。仕事をしているひとなら職場には出会いの対象になる相手がいないとそうなる。長年独身生活をしてきたボクもそういう風に思うことが頻繁にある。嘆いている若者とは何も変わらない。ただボクはどうしても彼女が欲しいわけでもないし、出会いというのはなにか運命のようなもののように考えている。しかも綿密にプログラムされているものなのかもしれないこともこれまでの経験から悟っているからか、あまり焦りはない。ふと思い出す。いまの川口の家に引っ越す前に住んでいた賃貸マンションのころに出会った女性のことである。彼女はそのマンションで毎朝玄関や廊下などの掃除をしてくれていた。その物件にはオートロックがあってセキュリティーもいいし、比較的新しくなかもうちもきれいだったので家賃も結構なものだった。場所も都心であり閑静な湯島である、6年間過ごしたシンガポールでの仕事をおえて帰国したボクは東京に就職先が決まっていた。あまりのんびりと有給休暇をとるようなこともしないボクは、帰国と同時に新しい職場での仕事を始めつつ川崎のホテルに滞在しながら昼休憩の時間に新しい住処を探すために職場の目の前にある不動産屋に行ったわけである。そして結局は職場から歩いて3分の場所に住むことにした。そのマンションに彼女がいたわけである。最初のころはめったに顔を合わすこともなかったが彼女が毎朝掃除をしてくれているのに気がついたのは住み始めてから半年くらい経過したころだっただろうか。結局は少しずつ挨拶をかわし、少しずつ世間話をし、ボクは彼女とディナーに行くなかになった。雨の晩には一つ傘で寄り添ってくる彼女はとても80歳には思えなかった。17歳の生娘のようだった。別れ際にはいつもお孫さんに帰るコールをしていた。出会いはないわけではない。それを大切に思えるかだけのような気がする。出会っているのにそれを出会いと認識していない場合もある。彼女はまだ元気で生きてらっしゃるだろうか。